本屋ロカンタン
[オンラインイベント]10/31[土]開催◎アーノルド・ゼイブル『カフェ・シェヘラザード』刊行記念「喪失の記憶、物語の循環」
更新日:2020年10月29日

場所を喪う――その、われわれが毎日、ミリ単位でメンタルに体験していることを、政治や自然の暴発により、いっぺんに、フィジカルに体験した、あるいは今、体験しつつある人々がいる。〈難民〉という言葉――あるいは〈被災者〉も――に、われわれがぴりりと反応してしまう理由は、そこなのかもしれない。
アーノルド・ゼイブル『カフェ・シェヘラザード』は、全編をあげて、そこに反応している物語だ。
「家族全員が消えていた。友人も、クラスメートも、つまり彼のそれまでの人生がまるごと無くなっていた。だから彼は、数時間とたたないうちに、二度と戻るまいとの決心をもって、あの場所をあとにしてきたのだ。」(第9章より)
〈あの場所〉は、どこにでもある。そして、その記憶は、当の本人たちがこの世を去っても、大気の循環に乗って地球上を経巡る。
アーノルド・ゼイブルに、じかに聞いてみたい。オーストラリアから見ると、東ヨーロッパのあの〈喪われた場所〉がどんな風に映るのですか。日本の神戸、そして日本軍が闊歩する上海の記憶は、どんな風に揺れていますか。その記憶の揺れを〈カフェ〉の空気そのままに捉えてやろう、なんていう作品を、いつ、どこで思いついたのですか、と。
[主催者より]

■ 開催概要
アーノルド・ゼイブル『カフェ・シェヘラザード』(共和国)刊行記念 「喪失の記憶、物語の循環」
日 時:2020年10月31日[土]19:00-20:30
会 場:ZOOM[オンライン開催]
共 催:マリルカ・プロジェクト/(株)共和国
参加費:1,500円/書籍セット:4,000円
ゲスト:アーノルド・ゼイブルさん[著者]
菅野賢治さん[訳者]
宮森敬子さん[挿画]
加藤めぐみさん[英語圏文学・オーストラリア地域研究]
下平尾直さん[共和国]
進 行:萩野亮[本屋ロカンタン]
[ ご注意 ]
* イベントはPC、スマートフォン、タブレットからご視聴可能です。事前にミーティングアプリ「Zoom」をダウンロードしてください。▶https://zoom.us/download#client_4meeting お申込みのかたには、PDFファイルにてZoomの会場URLをお送りいたします。
*Wifi環境などをご確認の上、通信環境の良い場所でご参加ください。
(視聴画面にうまく接続出来ないなどの不具合が発生した際でも返金はできかねます)
*配信は最善の準備と注意をして行いますが、生配信の特性上、不慮の一時停止や映像・音声の乱れ、インターネット回線のトラブルによる公演の一時中断、他のライブ配信への切り替えをお願いする場合がございます。あらかじめご了承ください。
*イベント中は「チャット」機能を使って質問やコメントをお寄せいただくことが可能です。ゼイブルさんも可能なかぎり質問にお答えします。ぜひご参加ください。
■ ゲスト

アーノルド・ゼイブル Arnold Zable
1947年ニュージーランドのウエリントン生まれ。幼少期にオーストラリアに移住、現在はメルボルンを拠点に創作活動。人権活動家としても移民・難民問題について発言。主な作品に『水車小屋』2020年、『幾つもの帰還の海』2008年、『宝石と灰』1991年、『カフェ・シェヘラザード』2001年など。
菅野 賢治 Kenji Kanno
1962年生まれ。東京理科大学・理工学部・教養(フランス語)教授。専門はフランス語圏文化研究、ユダヤ研究、難民研究。パリ第十難テール大学博士課程修了。著書に『ドレフュス事件のなかの科学』(青土社、2002年)、『ユダヤ教、キリスト教、イスラームは共存できるか』(共著、同志社大学一神教学際センター編、2008年)、『フランス・ユダヤの歴史』(上下巻、慶應義塾大学出版会、2016年)など。
宮森 敬子 Keiko Miyamori
アーティスト。ブルックリンにスタジオを持ち、日本とアメリカを基盤に活動。上野の森美術館、損保美術館、水戸芸術館、宮城県立美術館などにおけるグループ展覧会に参加。作品は絵画、ドローイング、立体からインスタレーション。近年は手透きの和紙、チャコールなどの自然の物を使用し、ツリーロビング(木の表面の模様を手透きの和紙で写し取った作品)で自然物や人工物を包み込むもの、あるいは透明樹脂(プラスチック)で自然物や自分の作品を固める作品など。
加藤 めぐみ Megumi Kato
明星大学人文学部福祉実践学科教授。津田塾大学文学研究科修了(文学修士)。ニューサウスウェールズ大学人文学部研究科修了(文学博士)。専門は英語圏文学、オーストラリア地域研究。著書にNarrating the Other: Australian Literary Perceptions of Japan, Monash University Press, 2008、『オーストラリア文学にみる日本人像』東京大学出版会,2013年、『海境を越える人びと―真珠とナマコとアラフラ海』(共著)コモンズ,2016年、『オーストラリア・ニュージーランド文学論集』(共著)彩流社,2017年、訳書に『希望―オーストラリアに来た難民と支援者の語り』アン=マリー・ジョーデンス著, 明石書店, 2018年など。
下平尾 直 Naoshi Shimohirao
1968年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科退学。2014年に出版社「共和国」を樹立。2020年9月末日現在、既刊54点。共著に、『メディアの本分』(彩流社)など、編著に、萩原恭次郎『断片 1926-1932』、『燃えるキリン 黒田喜夫詩文撰』(以上、共和国)、『俗臭 織田作之助[初出]作品集』(悪麗之介名義、インパクト出版会)など。
■ お申込み
本屋ロカンタン オンライン支店よりチケットをお求めください。
▶︎チケットのみ[1,500円] https://www.roquentin.net/items/34456181
▶︎お得な書籍セット[4,000円] https://www.roquentin.net/items/34456506

■ 書誌
『カフェ・シェヘラザード』
原 書|Cafe Scheherazade
著 者|アーノルド・ゼイブル
訳 者|菅野賢治
出版社|共和国[境界の文学]
定 価|3,200円+税
判 型|四六変型判/上製
頁 数|320
ISBN|978-4-907986-72-8
初 版|2020年8月